【 古代エジプト 】
食事を食べる時スプーンを使わず、手やパンですくって食べていました。
スプーン状の道具は調理、食事の配膳、化粧、医療などで使われていたようです。
【 古代ヨーロッパ 】
調理用として貝殻、素焼き、骨を削ったスプーン状の道具を使っていました。
その後、ローマ帝国時代に調理、薬品調合、化粧、また食事用としても広い層でスプーンが使用されていました。
ローマ帝国が滅びるとスプーンも使われなくなっていきます。
再びスプーンが使われるようになるのは、1000年ほど後の14世紀頃です。
ただ、この当時スプーンは大変貴重な物で、一部の特別な階級の者しか持てなかったそうです。
庶民にまで普及したのは17〜18世紀頃。
また、カトラリーセット(ナイフ・スプーン・フォーク)で使用するようになったのは19世紀頃と言われています。
【 中 国 】
約5000年前から、骨製のスプーンのような道具が食事に使われていました。
2500〜3000年前に使われていたスプーンは、形が蓮の葉に似ていたので、「蓮華」と呼ばれ、現在も中華料理などに使われています。
【 日 本 】
縄文時代の遺跡から石匙(いしさじ)が見つかっています。
その後、6〜7世紀に朝廷が遣隋使を中国へ派遣した時、箸と匙(さじ)を使う食事作法が伝えられたといわれています。
平安時代には宮中の正式な食事に箸と匙が並んでいました。
しかし、室町時代以降、寺院以外では匙は使われなくなります。
お椀に直接口を付けて汁を飲む日本料理では、匙(スプーン)はあまり定着しませんでした。
反対に箸が日本の食卓に不可欠になったのは、箸は祭事に使われるたびに新調し、何度も繰り返し使うことがなく、使い切りが常識であったこと。
現在、家庭で自分の箸やお椀と決めて食事をするのは、日本独特の文化であることから、日本人の美意識や衛生意識からスプーンではなく、箸を使う国になったのではないでしょうか。
この後、江戸時代中期頃から西洋料理が日本へ入ってくるにつれスプーンも日本に持ち込まれるようになりました。
そして、明治時代以降、洋食の普及により、一般にもスプーンが広まりました。